何もかもがデジタル化された社会についていけないヴィクトルは、かつては売れっ子イラストレーターだったが、今では仕事を解雇され、妻のマリアンヌにも見放されてしまった。冴えない毎日を送る父を元気づけようと考えた息子が、友人のアントワーヌが始めた〈タイムトラベルサービス〉をプレゼントする。映画製作を応用して客の戻りたい過去を広大なセットに再現する、体験型のエンターテイメントサービスだ。
ヴィクトルは「運命の女性と出会った1974年のリヨンに戻りたい」とリクエスト。すると、セットにはあの日のすべてが蘇っていた。用意された70年代ファッションに着替え、想い出のカフェで、アントワーヌの恋人で女優のマルゴが演じる〈運命の女性〉と出会うヴィクトル。幸せだった日々を再体験し、見違えるほどイキイキしたヴィクトルは、唯一にして全財産である別荘まで妻に内緒で売り払い、さらなる延長に注ぎ込む。
だが、ある時突然マルゴが降板し、別の女優が現れる。ヴィクトルの楽しい〈再体験〉は、マルゴとアントワーヌの関係にも“ある変化”を与えたのだ。果たして、〈タイムトラベルサービス〉に用意された驚きのエンディングとは──?